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住宅ローンを知ろう > 十文字先生の”これでなっとく”税務講座

十文字先生の”これでなっとく”税務講座―第2回

住宅ローン控除の改正は、収入の高い人ほど影響大

 前回は平成16年度税制改正の概要をお伝えしましたが、さらに、1つ1つの制度について詳しく解説していきたいと思います。今回は、議論を呼んだ「住宅ローン控除」について。今年中にマイホームに入居すれば前年並みの控除が受けられますが、来年以降にずれ込むと、徐々に縮小されます。どんな人がどんな影響を受けるのか、検討してみましょう。
【十文字良二】十文字会計鑑定事務所、税理士・不動産鑑定士
 住宅ローン控除が平成16年度税制改正でどうかわるか、簡単におさらいしておきましょう。
 今年、2004年中にマイホームを購入して入居すれば、年末借入金残高の1%を所得税から控除できます。年間控除額は50万円まで、10年間で最大500万円の控除です。05年以降の入居については控除額の枠が徐々に縮小され、08年には最大160万円まで減ってしまいます。
 ただし、住宅ローン控除という制度の枠が次第に縮小されるといっても、すべての人が同じように影響を受けるわけではありません。その理由は、控除される金額が、借入金の年末残高と控除を受ける前に納付している税額によって決まるからです。具体例で見てみましょう。
 まず、年収400万円のAさん(家族4人、子供は小中学生※1)が、2000万円の住宅ローンを借りて中古マンションを購入するとします。入居の年によって、控除額がどう変わるのでしょうか。図1をご覧ください(年末に入居して、初年度はまるまる2000万円の借入金残高があるものと想定してあります)。
 ※1:給与所得者で、妻は専業主婦で収入なし。子供2人(11歳・13歳)
 04年に入居する場合、借入金の額から計算した控除限度額は、1年目が20万円。借入金残高が減っていくにつれて控除限度額も縮小し、10年間で約180万円です。これに対して08年に購入して入居した場合、途中で控除限度額が大きく減るため、トータルでは約147万円です。04年入居に比べて、30万円以上も枠が狭まってしまいます。
 
  ※2:図1・2の試算の前提:年収は一定。社会保険料は年収の13%で、増減はなし。04年、05年の定率減税以外は税法に変化がないものとして計算。納付税額は、住宅ローン控除の有無とは別に、子供の年齢の変化による扶養控除の金額の変動によっても影響する。

 しかし、Aさんの年収は400万円で、それに対する所得税は、このケースでは最高でも年間5万7000円にしかなりません。控除されるのは所得税の金額が限度。つまり控除限度額を使い切れるほど税金がかかっていないのです。その結果、控除を受ける前の所得税額が控除限度額を常に下回っているので、Aさんはいつ入居しても控除される金額が変わりません。

 次に、年収1000万円のBさん(家族4人、子供は高校・大学生※3)が5000万円の借入金で建売住宅を購入したとしましょう(図2参照)。Bさんの所得税額はだいたい50〜60万円台となり、控除限度額を上回るため、入居する年によって控除される金額は大きく変わってきます。
 ※3:子供の年齢は17歳と19歳。その他の条件はほぼAさんと同様。
 

 04年に入居した場合は、初年度の控除限度額が50万円で、次第に減っていきます。Aさんが納付する所得税額は、1年めはわずか4万4800円。少しずつ納付税額が増えていき、10年間のトータルでは約144万円です。控除を受けなかった場合に比べて、約445万円のトクとなりますね。

 入居する年が遅れるにしたがって、同じ5000万円を借りていても控除の枠が縮小するため、所得税の支払い金額は逆に増えていきます。08年の納付税額は446万円で、控除を受けない場合より約143万円少ない程度です。04年に入居した場合より300万円も控除額が減ってしまうことになります。

 以上のことから、「年収が多いほど、借入金が多いほど、住宅ローン控除の改正の影響が大きい」ということができます。
 だいたい年収が400〜500万円くらいまでの人は、もともとかかっている所得税額が小さいので、いつ購入しても、あまり影響は受けません。年収800〜900万円以上の人は影響が大きくなるといえるでしょう。
 
 最後に、住宅ローン控除を受ける際の適用条件と注意点について解説しておきましょう。主な適用条件は、下記の通り。
1  一定の住宅の新築・取得・増改築等をして、その年の12月31日までに住むこと
2  引き渡しの日から6カ月以内に住むこと
3  家屋の床面積が50m2以上で、1/2以上が居住用であること
4  中古住宅は耐火建築物なら築25年以内、それ以外は20年以内
 増改築は工事費が100万円を超えること
5  指定された金融機関等からの借入金で返済期間が10年以上
6  控除を受けようとする年の合計所得金額が3000万円以下
 
 まず、購入する住宅は「家屋の床面積が50m2以上」という条件が付いています。この面積は「登記簿面積(内法面積)」であることに注意してください。マンションの場合、パンフレットや広告の物件概要に出ている専有面積は「壁芯面積」で表示されていまして、登記簿面積よりも数%広めになっています。最近の都心部で分譲されているコンパクトマンションなどは、ちょうど50m2前後のボーダーラインにあるケースが多いので特に気をつけましょう。
 
 借り入れる住宅ローンは「返済期間10年以上」という条件があります。繰り上げ返済をしたことで返済期間が10年を切ってしまうと、控除が受けられなくなりますので注意が必要です。もちろん、住宅ローン控除による所得税の減額効果より、繰り上げ返済による利息軽減効果が大きければ、繰り上げ返済をしたほうが賢明といえます。
 ただ、控除額は年末の借入金残高で計算されますから、繰り上げ返済をするなら、年末よりも、年明けを待ってから実行したほうが控除額を大きくできます。
 
 夫婦共稼ぎで購入して共有名義にした場合、夫と妻それぞれの所得税から控除が受けられます。この場合、住宅ローンの契約書の名義が夫単独の場合、妻が連帯債務者になっていることが必要です。
 
  また、共有している場合、住宅全体の取得金額に持ち分の割合を掛けたものが、その人の取得金額になります。控除の対象になるのは、その取得金額にかかわる借入金という点に注意してください。
 たとえば、5000万円の住宅で持ち分が2分の1、借入金が3000万円だったとすると、[5000万円×1/2=2500万円 < 3000万円]で、控除対象となる借入金残高は2500万円となります。

 さらに、共有名義の持ち分登記の仕方によっては、思わぬ失敗をすることもあります。図4のように、土地と建物をそれぞれ共有名義で登記すれば問題ありません。ところが、土地は夫、建物は妻、というように別々に登記してしまうと、建物を登記した妻しか住宅ローン控除はうけられなくなってしまうのです。

 
 
 共有名義の場合は、計算が複雑になりますので、一度税理士など専門家に相談することをお勧めします。
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